【英文解釈におすすめ】『英文熟考』上・下を徹底解説!

このページには広告が含まれています。

『大学受験のための英文熟考』上・下を解説!

今回は、大学受験を考えている方にもっともおすすめしたい「英文熟考 [改訂版]」を紹介します。大学受験だけでなくても、英文をしっかり読めるようになりたいという方全員におすすめできる本だと思います!

この英文熟考は私も受験期に愛用していた本で、もし「受験に使った参考書の中で1つだけおすすめして!」と言われたら、間違いなく即答で「英文熟考!」と答えるであろうほどです。

しかし、自分の周りで英文熟考を使っている人は一人も見ませんでした。こんなに素敵な参考書なのに、意外と使っている人もそう多くはないのでは…?そんな思いで、今回は「英文熟考」上・下をご紹介します。


基本情報

まずは英文熟考の基本情報をご紹介。

英文熟考は、いわゆる「英文解釈」のための参考書です。短い英文について、英文の文法を分析して、意味をとらえ、「正確に」日本語で表現できるか、が問われています。

著者は、竹岡広信先生。竹岡先生は、現在の受験の英語界で最も信頼が厚いといっても過言ではないトップ講師です。駿台で実際に教鞭をとりながら、単語帳LEAP、英作文が面白いほど書ける本、東大英語の赤本……数々の名参考書を世に送り出しています。

英文熟考の内容は?

英文熟考では、先ほど述べた通り、短い英文について、英文の文法を分析して、意味をとらえ、「正確に」日本語で表現できるか、が問われています。

たとえば、「関係代名詞」という文法事項を習ったとします。文法問題として基本的な文を和訳したり、4択問題を解いたりするかもしれません。しかしそれだけではきっちり、しっかり英文を読めるようになった、とは言えないのです。

関係代名詞が英文中に現れたときに、どのように意味をとらえて理解するのか。紛らわしい使われ方をしていた時に、どう日本語で表現したらよいのか。二通り以上の文法のとらえ方があるときに、文意をふまえてどう訳出するのか。そうしたことまでじっくり考えて和訳を行うことで、英文の分析力が上がり、確かな英語の力と学力が身につく、これが「英文熟考」です。

英文熟考の構成~使いやすさ抜群!~

英文熟考は「別冊」「本冊」「音声」の3種類で1セットになっています。使いやすく、わかりやすくするための工夫・ポイントが各所にあるのでご紹介します。

別冊

全部で70の英文(下は71英文)が掲載されています。英文といっても、英語長文ではなく、あくまで一つ文章を1問として、全部で70個載っています。この「英文を日本語訳する」というのが英文熟考の学習のスタートです。

特徴① 問題が別冊になっている

英文熟考では、英文の問題が別冊としてついています。どうしても答えが気になってしまったり、目に入ってしまったりする人もいるかもしれませんが、別冊に問題がついているためその誘惑の心配がありませんし、復習もしやすいです。また、英文解釈では、英文の文法構造を理解するために英文に「書き込む」作業を行う人も多いと思います。SVをふったり、かっこでくくったり…。そのときには問題をコピー印刷をすると思うのですが、別冊だと問題だけを印刷できる分、その手間が省ける&無駄なく印刷できる!という大きなメリットがあります

特徴② 語句の解説が別冊についている

英文の中にはもちろんわからない単語があるでしょう。でも心配ありません!ページをめくれば、「語句チェック」のコーナーがあります。英単語について意味だけではなく、語源やほかの用例など詳しい解説が掲載されています

英文解釈の訓練をするときにあるあるなのが、「英単語の意味が分からなくて全然進まない~!」という悩みです。重要な英文法の構造を読み解く練習がしたいのに、英単語でつまずいてしまっては、英単語を調べなくてはならず、めんどくさくなってしまいますよね。一方、英文熟考には問題が載っている「別冊」に語句の解説が載っています問題の答えも目に入れることなく単語がチェックできるのは、使いやすさの一つのポイントです!しかも、知っている単語でも有意義な解説が聞けちゃうのです。

本冊

別冊で問題を解いた(=英文を日本語訳した)あとは、本冊でじっくり解答・解説を読んで、理解を深めます。

特徴③ 文構造を表示してくれる

問題の文構造を、SVOCをふったり、かっこでくくったり、太字を用いたりしながら示してくれます。まずここで、自分の英文の分析に誤りがなかったかを確認できます。

特徴④ 日本語訳例(解答)の「注」がある!!

これはもっとも声を大にして言いたい特徴です。参考書で自分で一人で学習する際に陥りがちなの「この答えであってるのかな……」という不安、もしくは「このくらいだったら正解になるでしょ」という楽観です。しかし竹岡先生は、自分一人で採点できるように、あまりに細かすぎるのでは?と思うくらい解答に「注」を付けて、別解を示したり解説をつけたりしてくれています。「〇〇と訳すのは誤り」「〇〇は不自然」「〇〇と訳すのは避けて」「〇〇は不十分」「〇〇も可」など、丁寧すぎる解説をつけてくれています。

まさに自分の訳が「これでは不十分」と書かれていることも度々あります。「自分ではいいと思っていたけど、この訳では不十分なのか……」と驚くことは本当にたくさんありました。英語の意味を正確に日本語で表現する、というのが実際どういうことなのか=これほど厳しいレベルで採点されうるのだと知ったことは、非常に大きな意義がありましたし、言語の面白さにも触れることができました。

一言でいえば、自学しやすい!& 英文和訳に対する考え方が変わる!そんな特徴があるということです。

特徴⑤ わかりやすすぎる解説

もちろん解説は非常に分かりやすく、その上「痒い所に手が届く」「目からうろこ」という感じでしょうか。解説を読んで文法をちゃんと理解したこと、新たな発見をしたこと、いままで間違えて理解していたと気づいたこと、ぼんやりしていた文法事項がきれいに整理されたこと……多数です!これは実際に使ってもらって感じてもらうしかないですね。

さらに、おそらく竹岡先生が「言語」というものがお好きなのか造詣が深いのか、英語という言語と日本語という言語の違いに着目して、解説が書かれている箇所が多く見られます。実際、解説は「受験に使える英語テクニック」と称すよりも、英語という言語の文法の仕組みやとらえ方・理解の仕方を解説しています。受験勉強にとどまらず、言語の面白さにも触れられる、そんな本だと思っています。

特徴⑥ 繰り返し学習

繰り返し学習は、「同じポイントが含まれる文章が何度も出てくる」ということです。一度やるだけでは身につかないということで、1英文に1文法事項とするのではなく、いろいろなポイントをいろいろな英文を通じて何度も繰り返し学習できるように出題されています。様々なタイプの英文に対応できるようになるサポートを、参考書がしてくれるのです。

音声

特徴⑦ 全英文の音声が付いている

全70英文(下は71英文)の音声が付いています。音声もCDではなく、旺文社のアプリ「英語の友」やダウンロードによって手軽に聞くことができます。しかも、本冊の問題解説のページごとにQRコードが付いているため、コードを読み取ればすぐに音声を聞くことができるようになっています。

特徴⑧ 竹岡先生の講義音声も付いている

重要なポイントについては、竹岡先生の講義音声が付いています(例えば上では全70英文のうち30英文に講義音声が付いています)。理解が格段に深まるので、本の解説にプラスして、これは絶対に聞いた方がいいです。

「英文熟考」上

いつから始めたらよい?

結論!英文熟考は「文法を(だいたいでいいので)学習したら!」

「英文熟考」上の主な内容は

 ・動詞
 ・接続詞
 ・関係代名詞
 ・不定詞
 ・動名詞
 ・分詞構文

です。もう少し細かく見ていくと、動詞とは過去分詞形の後置修飾など、接続詞とは if や whether 、so ~ that などを取り扱っています。

英文熟考を始めるのは、こうした文法事項が完璧に固まってきてから……ではなくて構いません!!ある程度、文法を習った方であれば、英文熟考上にはすぐに取り組めると思っています!なぜなら、著者・竹岡先生が丁寧に解説してくれているからです(様々な例文を用いながら、英文法を解説し読み方をおしえてくれます)。

さすがに、「whether」を一度も聞いたこと・見たことがありませんという場合には、英文熟考上はまだ早いと思います。丁寧に英文を読む訓練をする前に、文法の勉強を進めてください。英文熟考をやってみて難しいな~と思った場合は、もう少し文法を続けてみるといいと思います!(英文熟考は捨てないでくださいね。後からきっと役に立ちます)

でも文法事項で「whether」を習ったけど、いまいちつかめていない、どう訳したら伝わりやすくなるかわからない、きちんと整理して正確に読めるようになりたい、という方には、ぜひ英文熟考に取り掛かることをおすすめします!!受験対策本ですが、高2時点ではじめられると難関大にはちょうどよい気がします。たとえば「Whether this book is interesting or not ……」で始まる文があったとします。これはどのような意味でしょうか?? 実は、続く後ろの文を考えることで「この本が面白くてもそうではなくても、」と「この本が面白いかそうでないかは、」の二通りがあるのです(こんなの基礎事項だ!と思っている方にも、役に立つポイントはたくさん書かれていると思います……)。

このように文法事項を整理しながら、どうやって英文を分析・理解し、日本語で表現するか、そのポイントを学ぶことができるのです!

「英文熟考」下

どんな人におすすめ?下はやらなくてもいい?

「英文熟考」下の主な内容は

 ・倒置、文の要素の移動
 ・関係代名詞
 ・強調構文
 ・比較
 ・名詞構文
 ・仮定法
 ・挿入
 ・省略

となっており、上よりも比較的発展事項が並びます。関係代名詞には連鎖関係代名詞節が含まれ、上よりも一段と難度が高まっています。比較は基本的なものから「no more」「the 比較級, the 比較級」「譲歩のas」といった事項まで扱われています。

内容が発展的で難しいとはいっても、「強調構文」「比較」「仮定法」など英語を学習するうえでは欠かすことのできないポイントがそろっています。本書に特徴的な「繰り返し学習」は上下通して行われていますから、上が終わった方はぜひ下をチャレンジして下さい。上の理解も一段と深まります!

一方、和訳を重視されない方にはちょっとオーバーワークな気もします。

下だけの使用はあり?

上巻は基本事項がそろっていますので、似たような参考書をすでにやったという方は下巻のみの使用もOKだと思います!

しかし、上巻にも、下巻に劣らない(というか基本事項なので下よりも頻出する)有意義な知識やポイントがたくさん詰まっていますし、何より下巻の基礎になるのが上巻なので、上下巻の2つを続けて取り組むのが非常に効果的だと思います。個人的には上下セットで取り組むことをおすすめしたいです

時間に余裕がある、という方はぜひ上下どちらも取り組んでみてください!

難関大志望者の方へ

なんとなく「英文熟考」は他の解釈本よりも簡単そうだ……と思われているような気がしてなりません。解説も基本的な事項から丁寧で、しかも本文のレイアウトも見やすく、2色刷り。よくある硬派で堅苦しい英文解釈本ではないのでそんな印象を受けるのかもしれません。でも全くそんなことはありません!著者・竹岡先生は「(上)(下)巻に登場する141の英文が理解できれば、英語の重要事項をほぼ学んだことになります」と述べていますし、実際、英文熟考だけでかなりの到達点に達すると思います。特に和訳が主な出題である京大英語には「英文熟考」上下で英文の正確な読み方・訳し方を学ぶことが、大きな役に立つことは間違いないです。最近は京大でも難しい構文の出題が少なくなっているほどなので、上巻こそとっても役に立つと私は思っています!上下合わせて141例文もあるので、意外と時間はかかりますし、復習必須になるので余裕をもって取り組む計画が立てられるとよさそうです。

比較されがち?な『英文読解の透視図』ですが、こちらの内容は「要素の移動」「等位接続詞」「省略」「倒置」「挿入」「強調」「仮定法」「比較」と全面的に「英文熟考」下巻と重複しています(接続詞は上巻の内容)。英文熟考下では少し演習量が足りないと感じる分野もあるかと思うので、余裕があったら『透視図』にも取り組むと良い復習になると思います!(難度は『透視図』のほうが高く感じます。)

でも、知識面では「英文熟考」上下に取り組めば、ほとんどすべてカバーできていたのではないかと感じます。あの大御所竹岡先生が自らおっしゃっているのだから、間違いないです!!


英文熟考が超おすすめ!

以上、竹岡広信先生の「英文熟考」について解説しました。一番おすすめしたい参考書ということもあり、熱が入ってしまいました。あくまで個人的な意見ですので……参考程度に考えていただければ幸いです!

コメント

タイトルとURLをコピーしました